ちぃちゃんの膝に座るのは何もこれがはじめてじゃない。
それこそ何百回単位で膝の上を独占させてもらっていたけど、今回ばかりはそうはいかない。
恥ずかしいのと、痛いのと、嬉しいのと、悲しいのが、全部ひっちゃかめっちゃかになって、
頭がどうにかなりそうだ。
ちぃちゃん、ちぃちゃん、揺さぶられながらしがみついて、背中に思いきり爪を立ててやったら
「コラ@@@、やめんね」そう言って一本一本@@@の指をしゃぶっていく。
痛いのはこちらも同じなのだ。
体にも心にも、消えない傷がつけばいいのに。

橘桔平、千歳千里、@@@の3人は幼馴染だ。
テニスを始めて以来、にょきにょきと身長の伸びていく二人をよそ目に、
@@@は一向に成長の気配を見せないものだから、
なんだか@@@だけが小学生のまま時が止まってしまっているような錯覚さえ感じる。
橘、千歳両名それぞれの妹と比べてみても、@@@と杏では杏の方が年上に見えるし、
@@@とミユキが並んでようやく同級生に見えるような有様だ。
@@@は中学生になっても、未だに幼馴染二人をきぃちゃん、ちぃちゃん、と呼び続けているものだから、
男子二人は内心そろそろその呼び方はやめて欲しいと思ってはいるものの、
なんだかお互いにとっての2人目の妹のようにも感じているから、むず痒さを孕んだ愛おしさもある。
そんな思春期の男女特有の不均衡なバランスをなんとか保ちながらも
日々の学生生活を送っていたところで、契機となる事件が起きた。
橘の打ったボールが、千歳の右目に直撃したのだ。
帰宅部である@@@はその現場に居合わせこそしなかったものの、
翌日以降、痛々しい眼帯姿となった千歳の周りをいつも以上にちょこまかとついてまわるようになった。

「ちぃちゃん痛くない?」「ちぃちゃん階段気をつけて」「ちぃちゃん黒板見える?ノート貸すよ」

「@@@、そげん近くでうろちょろされっと見えんばい。蹴っとーよ」

千歳と@@@では身長差がありすぎる。
千歳の足元に@@@が居ても、千歳の視界には入らないので、思わず蹴ってしまいそうになるらしい。
「ちぃちゃんが背ぇ伸びすぎなんだよ!」と@@@は頬を膨らませて反論しながらも、
それじゃあ、と打開策を提案してきた。即ち、一緒に居るときは手を繋ぐ、と。

「だって、片目で階段上り下りするの危ないよ?落ちたらもっと大変じゃん」

真下から子犬の様な目で見つめられては、却下できようはずも無い。
あーあ、もう知らんばい。
登下校時から教室移動の時まで、ずっと手を繋いで歩く姿は端から見ればまるで親子だ。
あまりに身長差のありすぎる二人の姿はどこかコミカルで、
男女の下世話な噂に発展しなかったのが唯一の救いと言えた。

一方で、橘はボールを直撃させた日を境に、数日学校に姿を見せていなかった。

「東京に、引っ越す?」

学校にも部活にも姿を見せていなかった橘から、千歳と@@@の両名に「大事な話がある」と
橘の自宅に来るよう連絡があり、そうして唐突に突きつけられた内容がそれだった。
曰く、父親の転勤に伴って一家全員で東京へ引越しをするらしい。
反省と自戒の意味を込めて、金髪だった髪を坊主にした橘からそう聞かされて、
@@@は臆面もなくその場で泣きじゃくった。
一緒に居た杏までが「@@@ちゃん、泣かないで」と言いながら一緒に泣き出す始末だ。
橘の父親の仕事や会社を恨んでみても、その決定が覆るはずも無く、
橘一家はあっという間に、@@@と千歳の日常から消え去ってしまった。

それから半年余り。
千歳の目は悪化こそせずとも、快方に向かっているとは言い難い状況だった。
地元の眼科からはじまって、より治療環境の整った別の病院を紹介される事を幾度か繰り返し、
最終的に千歳が下した判断は大阪への転院だった。

「やだ、やだやだやだやだ。きぃちゃんもちぃちゃんも居なくなっちゃうなんて、絶対やだ」

橘家の転居があまりに急だった事もあり、千歳なりの配慮として
ある程度前もって@@@に転校を伝えたのは、むしろ逆効果だったようだ。
火がついたように泣き出し、そこいらの物を手当たり次第に千歳に投げつけると、
終いには部屋に閉じこもってしまった。
学校でも、今まではむしろ@@@の方から一緒に行こう、一緒に帰ろうと千歳に寄って来ていたはずなのに、
校内でも徹底的に避けられている。
生徒たちがごったがえす休み時間、ひとり身長の飛び出た千歳はひどく目立つ。
@@@はその巨体の接近をすぐに察して逃げることが容易だが、対する千歳からしてみれば、
小柄な@@@を人垣から探し出すのは至難の業だ。
そうして半月足らずも顔を合わせずにまんまと逃げおおせたが故に油断していた@@@と、
あまりにも逃げ足の早い@@@に対してイライラのピークに達していた千歳が
強硬な手段でもって折衝の場を設けたのは、半ば当然の運びと言えた。

「いい加減・・・堪忍しなっせ」

@@@の手首を壁にはりつけるように押さえ込んで、千歳は強引に@@@をその体躯の内側に閉じ込める。
ぐっと身を屈めて、顔を覗き込むようにしても、千歳より遥かに小柄な@@@が下を向いてしまうと、
その表情を窺い知ることはできない。

「なぁ@@@・・・なして逃げっとっと?」

頑なに顔を背ける@@@の髪から覗く形の良い耳に尋ねると、@@@の肩がびくりと跳ねた。
今日という今日は捕まえて、何が何でも理由を聞く、と内心息巻いていた千歳は、
ようやく捕まえたこの小さな幼馴染が自らの腕の中で小さくなっている姿に、なんだか無性に加虐心を煽られる。
力で敵わない事など分かりきっているのに、手の力を緩めず、口も開こうとしない@@@に、
千歳はその衝動を止めることをしなかった。
舌先をすぼめて耳の複雑な隆起をなぞり、軟骨のあたりを甘噛みする。
予想だにしていなかった千歳の行動に、@@@は小さく悲鳴を上げた。

「やだっ・・・ちぃちゃんやめて、なんか、変な感じッ・・・」
「やめて欲しかったい、ちゃんと理由を言いなっせ。・・・なして、逃げとっと?」

わざといやらしい音を立てて、千歳は@@@の耳朶をねぶる。
もうやだ、ちゃんと言う、言うから。ギブアップの声を発する頃には、@@@の手から抵抗の力はすっかりなくなっていた。
「こっち向き」押さえつけていた手を開放して、変わりに@@@の顎を持ち上げて自らの方へと向けさせると、
羞恥と涙で目と頬を赤くした@@@が「ばか」と小さく漏らした。

「・・・ちぃちゃんの、顔、見たら、また、泣いちゃう。馬鹿とか、薄情者とか、酷いこと、言っちゃうもん・・・。
・・・ッ大阪、行かないと、ちぃちゃんの、目ぇ治らないって、分かって、るのに・・・、"行かないで"って、言っちゃう。」

しゃくりあげ、途切れ途切れになりながらもそう告げた@@@の言葉が、千歳の理性を瓦解させた。
大きな体躯を折り曲げるようにして@@@を抱きしめる。

「ほんに、・・・ほんなこつ@@@は、むぞらしかばい」

先ほどのラフプレーで火のついた千歳に、もはや欲情を押し留める理由はなかった。
腰に回した片手で易々と@@@の体を抱き上げると、反論の隙を与えぬまま唇を塞ぐ。
千歳に抱え上げられ、殆ど身動きの取れない状態であるのをいい事に、千歳は無遠慮に@@@の体をまさぐった。

「やだ、ちょ、待って・・・ッ、ちぃちゃんいきなり過ぎ、だよぉ・・・ッ」

されるがままの状態で@@@が抗議の声を上げるも、涙声となったそれは千歳の欲情を更に煽るだけである。
Yシャツのボタンを片手で器用にあけ、@@@の胸元に顔を埋めながら「逆効果ばい」千歳はいじわるに笑った。
まだほんの僅かな膨らみしか有していない胸を露わにさせると、その頂点を口に含む。
泣きながら嬌声を上げる@@@が、千歳には可愛くて仕方なかった。

「@@@、俺は本気ばい。しゃんむっで嫌なら、@@@も本気で抵抗すっとよ」

@@@のスカートの中に手を入れ、下着の上から敏感な部分を擦りあげながらそう言うと、
@@@は抵抗どころか、むしろ千歳の首に腕を回してしがみついてきた。
「・・・ッ・・・ちぃちゃんの、ばかぁ」しゃくり上げ、快感を堪えるように@@@は千歳のYシャツの襟を噛んでいる。
性急に事を進めた千歳に困惑しながらも、拒絶することはせず、
どうにか千歳を受け入れようとしている@@@に、千歳の方が逆に毒気を抜かれた。
思わず壁づたいにずるずる座り込むと、@@@を膝に乗せて子供をあやすように抱え込む。

「・・・ごめんばってん、@@@の気持ちも考えんと、かんなし事したばい」

頬を叩かれるなり、罵詈雑言を浴びせられるなりしても仕方がないと、千歳は目を閉じ奥歯を噛み締める。
けれど、腕に抱えた@@@からは一向に反撃の気配はなかった。
千歳の胸にもたれて俯いたまま、ずっとしゃくり上げて泣いている。
それが無言の抗議に聞こえて、なんだかいたたまれなくなった千歳は
もう一度「すんまっせん」と謝罪の言葉と共に優しく@@@を抱きしめた。

「・・・ちぃちゃん、他の子とも、こんな事してるの?」

千歳の胸板に顔を埋めたまま、くぐもった小さな声で@@@が訊ねる。
「そんなわけなか」即答だ。千歳は大事に大事に@@@の髪を撫で、こめかみに唇をあてながら答える。

「@@@は、俺にとって一番大事な女の子たい。
一番大事けん、逃げ回られっと、こげん追い詰められて、余裕なくしとうよ」

千歳の言葉に、@@@の体の力が解れていくのが分かった。千歳の背中に手を回し、キュッとYシャツを握り締める。

「・・・あげる、」
「・・・ん、なんね?」
「ちぃちゃんになら、あげる。・・・ちぃちゃんがいい。」

@@@が泣きはらした目を上げる。
@@@の言葉の意味を汲み取って、千歳は思わず頭を垂れた。額がぶつかる。
2度目のキスは、どちらかが奪い取るのではない、自然に重なったキスになった。

こんな状況ではじめてしまったから致し方ないとは言え、@@@の上げる嬌声はずっと涙声だ。
千歳に背を預ける形で@@@が膝の上に座り込み、しがみつくように千歳のYシャツを握りしめている。
千歳は背後から@@@の足を開かせて最初は転がすように、そこから徐々に擦りあげる様に
クリトリスを刺激してやると、より一層余裕の無い声が上がった。

「ちぃちゃん、やだ・・・っ、・・・もうそこやだぁッ」

秘部へ宛てがっている手をどかして欲しいのか、@@@が反射的に千歳の腕を掴む。
そんな反応がいちいち可愛らしくて、千歳は@@@の目尻にたまった涙を唇で掬い取ってやると、
「そんじゃあ、次はこっちばい」と更に数センチ下の方へ指を滑らせる。
既にぬるぬると濡れた肉の割れ目は、さしたる抵抗無く千歳の骨ばった指を咥え込んだ。
その感覚に@@@は小さく息を呑み、体を強張らせる。

「・・・痛くなか?」

はじめての感覚をどうにか受け入れようと、千歳の腕にすがりつきながらも@@@はこくん、と頷く。

「大丈夫たい、・・・力抜きなっせ」

できるだけやさしく、ゆっくりと。千歳が@@@の反応を見ながら、指を出し入れさせてやると、
初めは少し痛そうに奥歯を噛んでいた@@@が、徐々に与えられる感覚に慣らされていくのが分かる。
指の動きにあわせていやらしい音が聞こえてくる頃には、@@@は歯を食いしばることをやめ、
空気を求めるように、自ら薄く唇を開けていた。

「やらしかねぇ、こぎゃん細くてちっさいくせに、ちゃーんと女の体しちょるばい」

思わずこぼれた千歳の言葉に、小さな手がぺしりと飛んできた。
羞恥と快感で顔を赤くした@@@からの優しい反撃すら、千歳には愛しくて仕方が無い。
持ち主の元へ帰ろうとする手を捕まえて、いたるところに口付けてやる。
充分に濡れてほぐれた事を確認してから内壁を擦っていた指を抜くと、途端に@@@の足が弛緩した。

「・・・ちぃちゃん、・・・ぎゅってして」

背を預けていた体勢から千歳と向かい合わせになるよう、ゆっくりと緩慢な動きで@@@が体勢を変える。
下から見つめられるのには滅法弱いというのに、潤んだ瞳でそんな可愛いおねだりをされては骨抜きである。
体の小さな@@@を膝に乗せても、まだ千歳の方が座高が高い。
@@@の後頭部を引き寄せて、胸板に閉じ込めるようにして抱きしめてやる。
「・・・@@@は誰にもやらんたい。ぜぇんぶ、俺がもらってくとよ」

@@@の足の付け根を持ち上げて、千歳は自身の先端を宛がう。
先ほど指でほぐしたそこに、まずはほんの数センチ。そこから先はゆっくりと沈めていくしかない。

「・・・ッ、ちぃちゃ、・・・ちょ、まって」

指を挿れた時とは段違いの痛みなのであろう、@@@は奥歯をかみ締めて耐えている。
汗で張り付いた前髪を分けてやりながら、額や鼻先に口付けてやると、
ぎゅっと目を閉じていた@@@がうっすらと目を開けた。涙が頬を伝う。

「ちぃちゃん・・・、もちょっと、ゆっくり、」
「・・・ん。分かっとーよ。」

千歳としても、力を抜いてもらわないことには先を進めることはできないのだ。
背中を撫で、力の抜けたタイミングで徐々に深さを増していき、漸くその全てを沈められた。
「よう頑張ったけんね」肩口に顔を埋める@@@の髪を梳いてやる。

「ちょう痛い、・・・痛いんだけど、嬉しいの。・・・変なかんじ」

頬を高潮させ、汗と涙で顔をぐしゃぐしゃにした@@@にそう言われて、千歳の背筋がぞくりと粟立つ。
背徳感や独占欲、加虐心といったものがないまぜになった、男の欲望だ。

「そんなこつ、俺以外の男に言っちゃいかんよ」
「言わないよ、」

だって、ちぃちゃんが全部、貰ってっちゃうんでしょ。
いいよ、ちぃちゃんにならあげる、って最初に言ったじゃん。

@@@の腰を支えて、上下に揺さぶる。
もう手加減などしてやらない。ぜんぶぜんぶ奪いつくしてやるのだ。
@@@の心も、体も。

全ての行為を終えたあとで、@@@は膝立ちになって千歳の頭を抱きしめると、右目の瞼に口付けた。

「待っている」と、なんだかそう言われた気がして、千歳はもう一度@@@の細い体躯を抱きしめた。